落雁佐川光晴の『駒音高く』が凄い良かったんですよ。将棋にまつわる短編集。連作というには各話のつながりが薄く、でもたぶん同一の時空だろうなあという話が計7編。こういう短編集の常としてメインとなる棋士以外の視点での話もあるんですが、冒頭の話が将棋会館で掃除婦をしている老女視点なんですよ。これがツボにはまってしまいまして。導入としても一作としてもとても好きでした。実直にこつこつと生きてきた女性が、ひょんなことから関わった将棋に、少しだけ主体的になった途端開けたあれこれが、地味だからこそ愛おしい。初めて出会ったわけではないのもまたいい。(父との記憶と、少し前の少年との思い出と、当日のきっかけと。)引越しをやめるくだりとかとても好きです。そのあとに続く少年少女の奮闘も現役棋士の苦悩も勿論おいしいんですが、こっちの方が圧倒的質量なのにあえてってのが……そろそろ黙ります。老若男女とりあわせ、最後まで楽しく読み通せました。話としてはプロポーズのあれが次点。母親のあのある種楽観的な思考の、ある種の部分も良かったなあ……。https://hudepen.hatenablog.jp/entry/2019...updated:2023/08/27 #読書メモ 読書メモ 2019/11/06(Wed) 19:45:37
佐川光晴の『駒音高く』が凄い良かったんですよ。
将棋にまつわる短編集。連作というには各話のつながりが薄く、でもたぶん同一の時空だろうなあという話が計7編。こういう短編集の常としてメインとなる棋士以外の視点での話もあるんですが、冒頭の話が将棋会館で掃除婦をしている老女視点なんですよ。これがツボにはまってしまいまして。導入としても一作としてもとても好きでした。実直にこつこつと生きてきた女性が、ひょんなことから関わった将棋に、少しだけ主体的になった途端開けたあれこれが、地味だからこそ愛おしい。初めて出会ったわけではないのもまたいい。(父との記憶と、少し前の少年との思い出と、当日のきっかけと。)引越しをやめるくだりとかとても好きです。そのあとに続く少年少女の奮闘も現役棋士の苦悩も勿論おいしいんですが、こっちの方が圧倒的質量なのにあえてってのが……そろそろ黙ります。老若男女とりあわせ、最後まで楽しく読み通せました。話としてはプロポーズのあれが次点。母親のあのある種楽観的な思考の、ある種の部分も良かったなあ……。
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updated:2023/08/27 #読書メモ